UK着メロチャート1位(!)をかっさらった一発屋
上部の迫力満点の鼻血画像を見て
2000年代のロックを生きてきた(聴いてきた)人は
「うわっ懐かしw」
知らない人はヘタしたら
「ナニコレ!?キモッ!!」
とも捉えれる、ダサさを追求したB級メタルバンドも
顔面蒼白な、出オチ極まりないこのアルバムジャケット。
ANDREW W.K.(アンドリュー W.K.)の記念すべき1stアルバム
『I Get Wet (パーティー・一直線!)』(2002年)のアルバムアートワーク。
ANDREW W.K.
『I GET WET』
(邦題:パーティー・一直線!)
2002年
…ココまで読んで、もう既に複数の突っ込みどころが…
「着メロチャートてw」
「邦題がw」
「…よく見たら結構イケメンじゃね?」←
昔も今も(分からんけど)、たった1枚のアルバムジャケットで
見るものを虜に…というより、否が応でも記憶に爪痕を残す男
アンドリュー W.K. とは一体何者!?
2002年に日本で大ブレイク!頼れる兄貴
そもそもなんでこんなことを、なんと20年後の今書いてるかというと
特に意味は無く(←)、たまたまひっぱり出して聴いた
アンドリューの3rdアルバム
『Close Calls With Brick Walls(兄貴、危機一髪!)』(2006年)
が、当時感じた何倍も良く感じたから。
どうやらこのアルバムはサブスクには来ていないみたい。
セールス面も素寒貧と記憶してます。
むしろ、そもそもアンドリューは1stアルバムこそ話題に
上がったものの、所謂スターではなく、欧米ではむしろ
「鼻血出してちょっと目立っただけの一発屋」扱い(ひどい…
それでも、この極東の島国日本では何故か彼を大歓迎。
当時は割と爆発的に売れて、来日公演も多数開催
日本人に愛され過ぎた結果、J-POPや歌謡曲の
カバーアルバムまで出す(出させられる?笑)という局地的人気っぷり。
音楽以外にも、某誌の連載コーナーでは人生相談まで!(笑)
一度見たら忘れられない強烈なインパクトと、
見るからに兄貴肌な頼れる兄ちゃん的キャラクターが相まって
他のBIG IN JAPANなアーティスト達ともまた違う
超独特な売れ方をした、非常に稀有なアーティストです。
ちょっと脱線 ~日本の音楽の聴き方
少し話は脱線しますが、BIG IN JAPAN
(日本でのみ売れてる海外アーテイスト)勢にも顕著ですが、
国内のアーティストをファンになるとき、
我々は音楽性以外の部分も割と重視する国民性がありますよね。
よくあるのが『古参・新参戦争』に代表される
「自分の方が彼ら彼女らを昔から見てきた、支えてきた!」
「だから、にわかは黙れ!」
「売れてない頃の方が良かったのに…なんで世間に見つかったのか」
という、謎の親族的感情(笑)
『音楽性』に次いで、いやむしろ勝ることも多い
『(アーティストの)ストーリー性』を重要視する傾向。
アーティストの私生活ですら応援の指標の一つですよね。
不倫で音楽家生命が絶たれるなんてことも普通にありえる。
音楽はアレでも(…)、『いい人』なら人気なんてことも…。
特に海外のアーティストになるとその感情はより
「自分だけ知っている(かのような)」特別感を
強くもたらしてくれるんでしょうね
(もちろん、かくいう自分にもありました、そういう時期…)
音楽自体にのめり込むと、割と邪魔な感情なんですが
(せっかく本能では絶対良いと思ってるのに
好きじゃないと言い聞かせてるバンドとか、皆さんにもいません?)
この複雑な日本人の感情があったからこそ、
QUEENを始めとした偉大なバンドの世界的成功もあったのかな
なんて思ったりもします。人気の屋台骨を日本のファンが支えてましたよね。
あまのじゃくというか、本当の気持ちが分かりづらいけど
どんな音楽性になろうが最後まで献身的にファンでいる。
メンヘラのパートナーみたいなもんですね(笑)(半面、浮気癖が多いところとか)
日本独特の応援の仕方ですが、
こういうところを無視したら日本での音楽ビジネスは
成り立たないんでしょうね。
衝撃のデビューから、成熟へ
何かと話題になった1st 『I Get Wet (パーティー・一直線!)』
(それにしても原題と何の脈略も無いムチャクチャな邦題…
これを機に、第?次邦題ブームがにわかにやってきたような気も?)
アンドリュー W.K. といえばこのアルバムの印象が
あまりにも強い(というかコレだけ…?)ですが、
3rdアルバムも今の耳で聴けば非常に豊かなサウンドを奏でてる良作です。
1stは一聴したとき思わず
『何だコレ!?爆笑!!』
となる、終始お祭り騒ぎの如くシャンシャンと
けたたましく鳴り響くシンセの音色と
豪快に轟くハードロッキンなサウンドとが
マッチしてんだかしてないんだか分からない絶妙なラインで
アタマからケツまでスーパーハイテンションで攻め立てる
超アグレッシブな激烈パーティーミュージックでした。
まさに読んで字のごとく『パーティー・一直線!』!!
(なんか負けた気分になるな…)
そこから、基本軸はブレずに歌唱力や音楽的表現力が
一気にブラッシュアップされた2ndアルバム
『The Wolf (一匹狼)』(2003年)を挟んでの3rdアルバム。
2ndはほんと一気に色んなところが垢抜けてて
当時も最初は「おーいいじゃん」なんて思ってたんだけど、
1stの粗削りでいて猪突猛進な感じは鳴りを潜めたせいか
よくある「これじゃないんだよなぁ…」感漂う印象に。
全然悪くないけど、ちょっと大袈裟なことを小綺麗にやろうとし過ぎて
劣化版一人QUEENのような始末に(笑)
3rd『Close Calls With Brick Walls(兄貴、危機一髪!)』も、
基本的には1stで提示したお祭りサウンド+αなので
恐らく当時の評価も2nd同様「う~ん…」が多かったと思います。
むしろ、より実験的な要素が追加されて
シンプルなANDREW W.K.サウンドを望むファンには
結構キツかったかも知れません。ポジティブにいうと野心的。
(かくいう自分も、当時の印象があまりない程)
特に日本のリスナーって変化を望まない傾向が
あると思うので、あまり良い評価は見られなかったように記憶します。
実は発明!?革命的お祭りサウンド
が、そもそもアンドリューW.K. の魅力って
『ほぼ発明に近い、斬新でいて聴き馴染みのある音』
だと思うんですよね。
古今東西、様々なパーティーミュージックがありましたが
こんなサウンドは後にも先にもANDREW W.K. だけです。
シャンシャンシャンシャンと祭り囃子の如く鳴り響く騒音サウンド。
2ndなんてもやは、シンセmeets演歌では!?
くらいの仰々しくて暑苦しい、誰も真似できない(しない笑)音。
そのコロンブスの卵的発想が、成熟と共に更に進化したのが
このアルバムなのでは?と、時が経つと尚更痛感しました。
セールス的には海外では残念ながら全くだと思いますが
5曲目『Pushing Drugs (ダメ、ゼッタイ!)』(邦題が最高過ぎる)以降の
ユニークなアレンジや、オマージュ的楽曲などを盛り込んだアルバム後半など…。
インパクトはないけど、聴き応えのある充実した内容です。
アンドリュー自身の真摯(で紳士な)なキャラクターも手伝ってか
音楽オタクな性分を見事に具現化した、
アンドリューの音楽的性質が透けて見える良作です。
日本への影響(があるかもないかも論)
後々を見てみると、この煌びやかなやかましいシンセサウンドは
スクリーモやメタルコア界隈から派生した、キーボーディストを擁する
『エレクトリーモ』や『シンセコア』のような
日本人好みの、パーティーミュージック的享楽要素の強いジャンルの
ひな形を作ってたのでは?なんて読み取ってみたり。
特に日本国内のラウド系のバンドは、この手のサウンドがとにかく
流行りましたよね。中でもより個性的なバンドは
シンセサウンドを引っ提げて海外で勝負している頼もしい現状も。
こう見ると、彼が日本のみ(…)で異常にウケた理由も
まさかのですが、説明がついてきます…(そうなのか?
にわかに叩かれやすい日本人独特の音楽的嗜好ですが
海外のバンドが真似できない稀有なサウンドを作る
そんな影響をもしANDREW W.K. が与えてたら?
BIG IN JAPANも、捨てたもんじゃないはず。
途方もない、妄想みたいな推論で終わろうとしてますが
そんなアンドリュー兄貴、今でも元気に
20年前と同じ格好で豪快に活動中です。
興味出た方は是非、聴いて一緒にお祭り騒ぎだ!
お付き合い頂きありがとうございました。
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